それほど狂っているふうでもない母は、静かに子を奪われた悲しみに呆然としたまま、旅を続けてきたように見えた。 ⇒はなはなの梅若塚訪問記 |
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「隅田川」あらすじ 隅田川の対岸では大念仏が行なわれる日。 |
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最後のシーンでは子方が作り物の塚から白装束に黒頭の幽霊の姿で現れる演出と念仏の声だけでの登場する演出の二通りがあります。世阿弥は姿を見せない方がよいといい、作者で世阿弥の息子・元雅は姿を見せる演出を主張したといいます。今も演者の解釈によりどちらでもよいとされているそうです。 ※ 観世流シテ方の梅若家はこの梅若とは直接縁はないが、奈良時代の橘諸兄までさかのぼるとされ、丹波地方で勢力を誇った梅津氏が後土御門天皇より「若」の字を賜り「梅若」を名乗ったのだそうです。丹波地方は芸能の祖といわれる秦氏の本拠地でもあるとのこと。 ※ 梅若家については梅若六郎公式ページを参考にさせていただきました。 ※ 今回私が見た「隅田川」は六郎師が母、孫の美和音ちゃんが梅若の霊という配役。美和音ちゃんの澄んだ念仏声に、さしもの私も涙がこぼれて慌てたのは本文の通り。その昔、六郎師がまだ幼い頃に子方として、やはり祖父の梅若実師のシテとともに演じたものを絶賛されたといいます。かの白洲正子も梅若家でお稽古しており、「梅若実聞書」の著書もあります。最晩年、最後に公式の場に現れたのは六郎師の新作能「空海」だとのこと。 |
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