・・・・・・・・・・・・ 紫陽花画集
吾亦紅(われもこう)
「最前、いけて居られた花は、大変、珍しいものでしたが……」 盃を手にして、東吾は広縁の壷をみた。 尾花に、赤い小さな実のような花のと、薄青色の花とが、備前の壷によく調和している。 「野の花でございます。吾亦紅と松虫草……」 「吾亦紅……」 「吾も亦、紅なりと書きますの」
「最前、いけて居られた花は、大変、珍しいものでしたが……」
盃を手にして、東吾は広縁の壷をみた。 尾花に、赤い小さな実のような花のと、薄青色の花とが、備前の壷によく調和している。
「野の花でございます。吾亦紅と松虫草……」
「吾亦紅……」
「吾も亦、紅なりと書きますの」
―― 『白萩屋敷の月』 より
Back Next
Index