其の一
それは、相手にとっては初めてのキャンプだった。
季節は、ちょうど今頃だった。 みんな待ち遠しくその日を待っていたのに、しとしと降りだし夜半過ぎに大雨になり、テントを打つ雨音に気持ちをそがれた・・明け方屋根にたまった、雨がいっきに落ちたときは、お互い飛び起きた。
最初がこれなら、もう怖いものはないとなぐさめて 大笑いした。
あれからいくつかの年が過ぎた、まだ小さかった子供達も手がかからなくなりだし、私たちは、たまには二人で旅に出ようとまたたわいもなく悪巧みを言い出した。
旅先を関西としたのは、何故だったのだろう?
女二人旅は、やっぱり京都よ!というノリだった気がする。
それならついでにユニバーサルスタジオなんてどう?! 異議なし! なんでいつもこのノリなんだろう?
彼女は、京都は初心者。修学旅行もいかずに「青春」を器械体操にかけていた・・そうな?
私は、京都は少し特別な土地。それは祖母の流転の人生・終焉の地であったから。
どんなに流されたことだろう祖母は、自分の終幕はどこで引くかをあるがままに受け入れてこの地で骨になった。そしてその命日の月。いくべし!
彼女にどこでも案内するわ!と豪語したものの多少の不安とオンナの見栄があったことは、ここで白状しておく。
今、時の人「安倍晴明」にご挨拶に行くか!この春に神社の場所はチェック済み。
大丈夫!後はナンとでもなる。
USJ? 行ってやろうじゃないの、ディズニーシーがopenしたって今、USJに行くのがおしゃれザンス!
いざ出発したものの、お約束の雨でスタート。
USJもそれなり、だってTDL行ったらどこもここも比べものにならない。ウォルトディズニーの徹底したポリシーに脱帽!
しかし、京都はいつもの顔で向かえてくれる。駅舎が新しくなっても、そぐわないビルになっても、京都はいつも京都。この匂いは変わらない。
東山にむいて「ただいま、おばぁちゃん」だまって目をつぶる。
安倍晴明の神社もかわいいくらいで、でも社務所を新しくしているのには「もうけてはるわ」となってくる。
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