心
の 駅 - 1 - |
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今、あるドラマを見終えた。 内容は「もって後1年の命」と宣告された若い教師の話である。 単純に「お涙頂戴」ドラマにありがちなストーリーなのでは。そう思って初回からの分は見ていなかった。 私は中学時代の恩師が癌で他界していたので、その手の話には抵抗があったのだ。 それがある時、たまたま見た回の台詞に圧倒された。 主人公が結婚に対して二の足を踏んでいた時、主治医が「たとえ明日、世界が滅亡しようとも、今日、私は、りんごの木を植える」(こう言った内容の台詞だったと思う。)この言葉に少し感動した。以来このドラマを毎週欠かさず観る事となった。 主人公は「癌宣告」以前では自分の授業を無視して個々の参考書を開いている生徒達が「授業無視」の態度に対して「無駄な抵抗」と諦めて注意もしなかった。 受験生の生徒に対して「コーラスコンクールに出ましょう」と言うのはかなり意表をついたものではあったが、「野ばら」「この道」の合唱を聴いて、清清しい中にもじわじわとこみ上げてくるものがあった。 その後のドラマの展開は、最後まで主人公に抵抗していた生徒が、数年後教師となって母校に赴任する。彼は就任初日の授業がまさに自分も行った「授業無視」の風景だった。その時、彼は亡くなった主人公の話を語り始めた。 そしてラストシーン。 |
Illustration by KIKUCO