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チケット入手法
お能拝見Q&A
能楽用語集


お能のチケットはどうやって手に入れたらいい?

最近は「ぴあ」や「チケットセゾン」などでも簡単に手に入りますが、個人の会などはチケット取扱手続や扱い量の関係もあって掲載されていないケースもあります。
他の方法としては

1. 近くに能楽堂がある場合なら、こまめに足を運んで開架してあるチラシをゲットすることです。
能楽師個人の会や素人会などの情報も多く、「無料」のものもあります。また、能楽堂の定例公演も低価格でよい演目が多いです。

2. 最近は能舞台ではなく普通のホールでも能楽を演じますので自治体の文化施設のスケジュールをこまめにチェックするのもいい方法です。最近は「文化振興事業団」「文化協会」などの自治体の外郭団体が主催する公演も多くなっています。子役を公募するケースも。公演自体は意外とリーズナブルなお値段で楽しめます。
また、町おこしや自治体などのイベントで薪能を実施するケースも増えています。新宿御苑や靖国神社、京都の平安神宮などが有名です。

3. 関西地方には「KENSHO」という伝統芸能中心の季刊ミニコミ誌があって公演情報がかなり詳細に載っており、文化施設などで無料でゲットできます。専門誌なら「能楽タイムス」や名古屋地区限定ですが「能楽の友」はかなり細かく公演情報を載せています。「観世」「宝生」など各流派の機関誌なども多数発行されていますが、なかなか入手できません。図書館に開架されている場合もありますので問い合わせてみてください。


お能拝見Q&A

●お能や狂言を見に行くのに着物を着ていかなくてはいけない?

そんなことはぜんぜんありません。着飾る必要もありません。
おしゃれして特別な時間を過ごしたい、と思うのは女性の特権ですから、浮き立つような気持ちで装っていただいて構いません。着物がお好きな方ならぜひお召しになってください。着物を着るいいチャンス、と思っていただけば幸いです。小紋や紬程度が素人ならちょうどいいかも。
洋服ならちょっとだけヒカリモノをつかうとかアクセサリーを大きくするとか、同窓会ぐらいの装いならおしゃれですね。

●曲のあらすじは勉強していったほうがいい?

道成寺・味方團

あらすじぐらいは頭に入れていったほうが、舞台で何が行われているかがおぼろげにも理解できると思います。
かといって演能中に読みふけるのはもったいないです! せっかくの能面の表情や所作を見逃してしまいます。
最近は公演の資料としてあらすじをまとめたプリントを配布するケースも多いです。最近手に入りにくくなりましたが、入門書として「マンガ能百番」平凡社・刊、渡辺睦子・画が秀逸です。かといっても、「理解しなくてはならない」と堅くならずにごらんになってください。
まずは雰囲気を感じ取る、味わうのが一番いいと思います。

●見ている間に眠ってしまいそうです。

前日はしっかり睡眠をとっていただくこと、直前に満腹になるほどの食事は厳禁ですね(笑)
眠いのはつまらないのかそれとも気持ち良いのか…眠るほどいいお能、と冗談交じりに言われる方もありますが、基本的にはやっぱり失礼ですよね。私も眠いときはガムをこっそり噛んだりして自衛してます。
要はストーリーがわかれば眠る間もないほど面白いと思うのですが、舞が続くところは眠いかもしれません。眠いときは仕方ないです、じたばたしないで静かに目を閉じてお謡とお囃子に身を委ねてください…くれぐれも鼾をかかないように(笑)
携帯電話の音は絶対に「オフ」。バイブレーションも意外と響きます。「間」が命の「お能」です。音のない時間が「ミソ」なのですから要注意。

●どの席がいいですか。

基本的には舞台の正面、前から5列目ぐらいから後ろがいいと思いますが、音の抜けはもっと後ろのほうが良いです。
また装束の文様や能面の表情をきちんと見たいならもっと前のほう。脇正面もお好きな方がありますが、舞台全体を見渡せるので面白いかもしれません。また橋掛かり・幕の中の鏡の間に近いので、役者の息遣いが感じられます。
中正面は目付柱のかげになって見にくいですが、その分お値打ちで、学生割引席になっているケースも多いです。

●イヤホンガイドがありますか。

名古屋能楽堂では公演によってはイヤホンガイドを貸し出し、シーンごとの解説を行っているようです。保証金を払って借りて、返すときに返金を受けます。
他にもそうしたサービスを行う能楽堂・公演があるかもしれません。また、字幕を出したり、演じる前に解説をしてくれる公演も最近見かけます。


能楽用語集

●シテ…主役。シテ方の役者が演じる。ワキ方・囃子方・狂言方の役者は演じない。

●ワキ…脇役。多くがその場所に住んでいる人間、旅人、旅僧、山伏など。ワキ方が演じる。

●ツレ…シテに従う脇役。準主役となる場合もある。シテ方が演じる。

●ワキツレ…脇役に従う役。ワキの家来や仲間など。ワキ方が演じる。

●子方…「こかた」と読む。身分高い人物や主人公の子どもなど。シテ方に属する。

●アイ…間狂言ともいい、前シテと後シテの間「中入り」のあいだにあらすじを説明したり、話を進めたりする。狂言方が演じる。

●四拍子…囃子方の笛方、小鼓、大鼓、太鼓をまとめて言う場合に使われる。

●地謡…6人から8人、仕舞では2人〜4人、シテ方が謡う以外の詞章を謡う。

真清田神社年越し能・羽衣

●後見…シテ方が勤める。シテに異常があった場合はただちに紋付袴のままで引き継いで最後まで舞わなくてはならない。そのため、シテと同じ技量かそれ以上の役者が勤める。その他、作り物の出し入れや物着の手助け、鬘桶など小道具の出し入れ、装束の着付など、シテ方のお世話一切を行う。

●作り物…岩や塚、山などを、竹や生木、白布、紅段、鬘帯などを使って作られる。演じる度ごとにシテ方が制作し、終われば解体する。後見が幕から出し入れする。

●小道具…「松風」の汐汲車、「自然居士」「花月」などの羯鼓(かっこ)、「葵上」の鹿背杖(かせづえ)、その他短冊や琵琶、打杖など。

●物着…シテ方が幕に入らず、舞台上で装束を替えたり、烏帽子をつけたりする。作り物の中で装や面を替えたりすることは物着と言わない。

●中啓…「ちゅうけい」という。能で使われる扇。閉じても先が銀杏型に開く形の扇。両面に絵がかかれており、演目や性別、年齢によって、また流派によって決まりの模様がある。

●鎮扇…「しずめおうぎ」といい、仕舞や舞囃子、地謡などで使われる。刀の代わりとされ、扇の扱いには細心の注意を払う必要がある。

●お調べ…囃子方が楽器の調子を整えるために開演前に鏡の間で音合わせをすること。開演の合図にもなっている。

●鏡の間…橋掛かりの奥にある部屋。大きな鏡が置いてあり、その前でシテが面を掛ける。神聖な場とされる。

●小書…特殊演出。舞の型・囃子の手・装束などが変化する。

●頭…「かしら」という。人間以外のものがつける。赤頭(強さ、龍や鬼など)、白頭(年経た、山姥、老人の霊・鬼など)、黒頭(邪悪な、強い、など。鬼や神、亡霊、鬼など)。赤頭に一筋白毛が入っている場合は人間が変化したものを暗示する。

●神・男・女・狂・鬼…能の演目の種類。テーマが大きく五つに分かれ、この順序で五番立てで演じられることもある。

●舞囃子…舞事、働事などの見どころを謡と囃子で舞う。装束を付ける場合とつけない場合がある。

●仕舞…舞の見どころを地謡で舞うもの。


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